仙台あさひ法律事務所

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交通事故に遭ってしまったら

当事務所では、交通事故紛争処理機関での実務経験を経た弁護士が複数名在席しており、その他の弁護士も複数の交通事故案件に日常的に対応をさせていただいております。
このように交通事故案件の経験が豊富な弁護士が皆様のために全力で解決に当たります。

以下では、交通事故による損害賠償に関して問題となりうる点をいくつかご紹介いたしますが、 具体的な結論は事故状況や被害状況により異なる場合がありますので、交通事故問題でお困りの際には、一度当事務所までご相談下さい。

●交通事故に遭ってしまった!解決までの流れは?
●損害賠償はどのくらい支払ってもらえるの?
●示談交渉はどうやって進めればいいの?
●交通事故のよくあるご質問 Q&A
●交通事故に遭ってしまった!解決までの流れは?
  1. まずは必ず警察に連絡しましょう!
    警察へ事故の届出をすると「交通事故証明書」が作成されます。この証明書がないと保険会社への請求ができない場合がありますので、必ず警察に連絡しましょう。
  2. 相手方の情報を把握しましょう!
    後に損害賠償を請求する場合に備えて、相手方の氏名、住所、連絡先や加入している任意保険会社などについて、情報を把握しましょう。
  3. 怪我の治療
    怪我をした場合、事故からなるべくすぐに病院に行き、診察してもらいましょう。事故直後には痛みなどがなくても、後から症状が出てくることもあります。この場合も、症状が出たらなるべく早く病院に行って診察を受けるようにしましょう。
  4. 症状固定の診断
    これ以上治療を続けても症状が良くならない状態になった場合、担当医師によって症状固定の診断がなされます。後遺障害が残ってしまった場合には、自賠責保険の等級認定手続を行います。
  5. 示談交渉の開始
    治癒若しくは症状固定の診断や自賠責保険の後遺障害等級認定手続がなされたら、相手方の任意保険会社の担当者などを相手に交渉を開始します(休業損害等について先行して支払いを求めたい場合など、症状固定等を待たずに交渉を開始することもあります)。
  6. 示談交渉以外の手続
    示談交渉がまとまらない場合には、交通事故紛争処理センターにおける和解あっせん手続や、調停、訴訟などの手続によって解決を目指すことになります。
  7. 最終的な解決
    上記のいずれかの段階で、示談書が締結されたり、裁判所による判断がなされたりして、賠償金が支払われれば解決となります。
●損害賠償はどのくらい支払ってもらえるの?
損害賠償の算定基準
➢ 交通事故の損害賠償の算定については、以下の3つの基準があります。
(1) 自賠責保険の基準
被害者の損害を最低限補償するという性質の基準で、3つの基準の中では最も低額の基準となります。
(2) 各任意保険会社の基準
任意保険会社が独自に定める基準で、基本的に非公開ですが、一般的には(1)と(3)の間の金額であるとされています。
(3) 日弁連交通事故相談センターの基準
過去の裁判例などをもとに算出された基準で、3つの基準の中では最も高額の基準です。
弁護士が代理人となって交渉する場合や裁判になった場合にはこの基準が用いられます。
➢ 相手方の保険会社から最初に提示される損害賠償の金額は(2)の基準によって保険会社が独自に算定した金額であることが多いため、(3)の基準より低額であることがほとんどです。弁護士が示談交渉を行う場合、(3)の基準をもとに請求を行うため、保険会社の当初の提示額より高い金額で解決が図られる可能性が高くなります。
損害賠償の種類
➢ 大きく分けて、(1)積極損害(事故によって現実に支出した損害)、(2)消極損害(事故がなければ得られたであろう利益を失ったことによる損害)、(3)慰謝料(事故によって被った肉体的・精神的苦痛に対して支払われる金銭)、(4)物的損害の4つに分けられます。
(1) 積極損害

治療費関係

治療費、入院費、薬品代など必要かつ相当な範囲の実費全額

入院・通院付添費用

症状の程度、被害者が幼児であるなど必要と認められる場合

将来の看護費用

医師の指示または症状の程度により必要がある場合

雑費

入院雑費や後遺障害が残った場合の将来の雑費

通院交通費

電車代やバス代、自家用車を使用した場合のガソリン代など

子供の学習費など

受傷の程度や子供の年齢、家庭の状況などから、学習や保育、通学付添の必要性がある場合

装具・器具などの購入費

義手・義足や車いすなど、必要がある場合

家屋・自動車などの改造費

後遺症の程度や内容から、必要がある場合

葬儀関係費用

原則として150万円(下回る場合には実際に支出した額)

損害賠償請求関係費用

診断書料や保険金請求手続費用など

後見等関係費用

成年後見開始の審判手続費用や後見人報酬など

弁護士費用

裁判になった場合、裁判で認められた損害賠償額の10%程度

(2) 消極損害
① 休業損害
➢ 事故によって休業したことによる収入減少について損害として認められます。詳しくは下記の「交通事故のよくあるご質問 Q&A」をご参照ください。
② 後遺症による逸失利益
計算式
基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
基礎収入額
原則として、事故前の現実の収入を基礎として算出します。給与取得者であれば事故前年の年収、事業所得者であれば申告所得、家事従事者であれば賃金センサスを用いて算定されます。
労働能力喪失率
後遺障害の等級によって基準が定められており、これを参考に、職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度などの具体的な事情も考慮したうえで算出します。例えば、後遺障害等級1級(両目の失明など)では100%、14級(局部に神経症状を残すものなど)では5%となっています。
労働能力喪失期間
労働能力喪失期間の始期は症状固定日、終期は原則として67歳とされています。むち打ちの場合には、後遺障害等級12級で10年程度、14級で5年程度に制限されることが多いですが、具体的な症状や職種によって、認められるべき労働能力喪失期間は異なります。
労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
将来発生する損害を一括して先に受け取ることになるため、中間利息を控除して、現在の価値に換算する必要があります。そのために用いられるのが「ライプニッツ係数」です。
※中間利息は年5%の割合で控除するとされていましたが、令和2年4月の民法改正により、令和2年4月1日以降に発生した事故の場合、年3%の利率が用いられることになりました。
具体例
➢ 45歳の会社員(年収480万円)が、むち打ちで、後遺障害等級14級と認定された場合

労働能力喪失率は5%、労働能力喪失期間(5年)に対応するライプニッツ係数は4.5797なので、
4,800,000 × 0.05 ×4.5797 = 1,099,128円
となります。
※令和2年4月1日以降に発生した事故という前提で計算
③ 死亡による逸失利益
計算式
基礎収入額 ×(1-生活費控除率)× 就労可能年数に対応するライプニッツ係数
基礎収入額
後遺症逸失利益と同様の方法で算出します。
生活費控除率
被扶養者の数や被害者の年齢によって目安が定められています。
就労可能年数
原則として67歳までとされています。
就労可能年数に対応するライプニッツ係数
後遺症逸失利益の場合と同様に、中間利息を控除します。
具体例
➢ 30歳の専業主婦が交通事故に遭って死亡した場合

基礎収入額は令和元年賃金センサスの女性労働者の全年齢平均の賃金額3,880,000円、生活費控除率は30%、30歳から67歳までの37年のライプニッツ係数は16.7113なので、
3,880,000円 ×(1-0.3)× 16.7113 = 45,387,890円
となります。
※令和元年の間に発生した事故という前提で計算
(3) 慰謝料
① 死亡慰謝料

被害者の属性

慰謝料の目安

一家の支柱

2800万円

母親、配偶者

2500万円

その他(独身の男女、子どもなど)

2000万円~2500万円

上記は一応の目安であり、具体的な事情によって増減される可能性があります。
② 傷害慰謝料
➢ 入通院期間を基礎として、目安となる金額が定められています。例えば、入院3か月の場合は145万円、通院3か月の場合は73万円、入院1か月+通院3か月の場合は115万円となっています。
通院が長期にわたる場合には、症状や治療内容、通院頻度をふまえ、実通院日数の3.5倍程度を通院期間の目安とすることもあります。
また、むち打ちなどで他覚所見がない場合や軽い打撲などの場合には、異なる基準が用いられます。例えば、入院3か月の場合は92万円、通院3か月の場合は53万円、入院1か月+通院3か月の場合は83万円となっています。
この場合も、通院が長期にわたる場合には、実通院日数の3倍程度を通院期間の目安とすることもあります。
もっとも、この基準はあくまで目安であるため、傷害の重さなどの具体的な事情によって増額される可能性もあります。
③ 後遺症慰謝料
➢ 後遺障害等級によって、目安となる金額が定められています。

第1級

第2級

第3級

第4級

第5級

第6級

第7級

2800万円

2370万円

1990万円

1670万円

1400万円

1180万円

1000万円

第8級

第9級

第10級

第11級

第12級

第13級

第14級

830万円

690万円

550万円

420万円

290万円

180万円

110万円

(4) 物的損害
➢ 車両の修理が相当な場合には、修理費相当額が損害として認められます。
物理的全損、経済的全損の場合や、車体の本質的構造部分が客観的に重大な損傷を受けてその買替をすることが社会通念上相当と認められる場合には、買替差額(事故時の時価相当額と売却代金の差額)が損害として認められます。
「経済的全損」とは、修理費が、車両時価額に買替諸費用を加えた金額を上回る場合を言います。
このほか、買替のため必要になった登録手続関係費、修理しても欠陥や商品価値の下落が見込まれる場合には評価損、代車使用料、営業車の場合には休車損、レッカー代、家屋・店舗等の修理費、積荷に関する損害などが損害として認められます。
過失相殺
➢ 上記の損害の合計額に、過失割合を乗じた金額が最終的に支払われるべき金額になります。例えば、損害の合計額が1000万円、過失割合が20:80(自分:相手方)の場合には、800万円が最終的に支払われるべき金額ということになります。
過失割合については、過去の裁判例をもとに、事故の類型ごとに基本となる過失割合と修正要素が基準として定められています。
もっとも、事故の状況は一件一件異なるものであるため、適正な過失割合を導き出すためには、事故当時の状況を詳細に把握し、過去の裁判例も参照するなど、専門的な検討が必要になってきます。
●示談交渉はどうやって進めればいいの?
➢ 相手方が任意保険に加入している場合には、多くの場合、怪我の治療が終わった段階で保険会社から示談金額が提示され、担当者と交渉を進めていくことになります。相手方が任意保険に加入していない場合などは、相手方本人やその代理人弁護士に対して賠償金の請求を行い、交渉を行うことになります。
上記でも述べたとおり、最初に保険会社から提示される金額は、必ずしも適正な金額とは限りません。また、損害項目は多岐にわたるうえ、それぞれの損害の金額を算出するにも細かい計算や法的判断が必要となってくるため、ご自身で適正な賠償金額を導き出し、交渉を行うのは難しいものです。
弁護士に交渉を依頼することで、損害項目の見落としを防いだり、各損害の金額を増額できる可能性が高まりますので、早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士特約
➢ 保険会社が弁護士費用を一定額負担する特約で、一般的には300万円まで自己負担なく弁護士に示談交渉などを依頼することができます。ご自身の自動車保険のみならず、他の損害保険やご家族が加入している保険などにも特約がついている場合もありますので、まずはご自身やご家族が加入している保険全てについて、弁護士特約がついていないか確認してみることをお勧めします。
●交通事故のよくあるご質問 Q&A
Q1. 先日、車に乗っているときに後ろから追突され、首に強い衝撃を受けました。事故直後に行った病院では頸椎捻挫と診断されたため、近所の整骨院で治療を続けたいと思っているのですが、整骨院での治療についても治療費は支払われますか?
A. 整骨院での治療も、有効かつ相当と認められる場合や、医師の指示に基づいたものである場合には、治療費が損害として認められます。
➢ 損害賠償の算定にあたっては、医師による診断が重視される傾向にあります。また、後遺障害が残ってしまった場合なども、病院への定期的な通院と医師の診断が重要になってきます。したがって、整骨院で治療を行う場合であっても、定期的に病院にも通院するようにしましょう。
Q2. タクシーで通院した場合でも、交通費を支払ってもらえますか?
A. 症状や公共交通機関の状況などから相当とされる場合には、損害として認められます。
➢ 傷害により歩行が困難な場合や、公共交通機関を利用しようとすると駅まで徒歩で1時間かかる場合など、具体的な状況によってはタクシー代も通院交通費として認められます。
Q3-①. 私は会社勤めなのですが、通院する際には有給休暇を使っていました。このような場合でも休業損害は支払ってもらえますか?
A. 有給休暇を使用した場合でも、休業損害が認められます。
➢ 給与取得者の場合、休業損害は以下のように算定します。
1日あたりの平均賃金 × 休業日数(有給休暇取得日を含む)
※ 1日当たりの平均賃金 = 事故前3か月間の収入(諸手当、賞与を含む)÷90日
例:事故前3か月間の給与が90万円、賞与が60万円、休業日数が10日間の場合
(900,000+600,000)÷ 90 × 10 = 166,670円
Q3-②. 私は会社の役員なのですが、保険会社の担当者から、「会社役員の場合、休業損害は発生しない」と言われました。休業損害は支払ってもらえないのでしょうか?
A. 会社役員であっても、現実の収入減少があった場合、労働の対価部分については休業損害として認められます。
➢ 会社役員の報酬には、労働に対する対価としての部分と、実質的に利益配当に相当する部分の2つの性質の報酬が含まれているとされています。このうち、労働に対する対価としての部分については休業損害として認められます。
➢ これに対し、休業したにもかかわらず役員報酬が満額支給された場合には、現実の収入減少がないため、休業損害は認められません。この場合、会社は役員から労務の提供を受けられないにもかかわらず役員報酬の支払いを余儀なくされたことになるため、会社が相手方に対し、役員報酬のうち労働の対価部分について損害賠償請求することができます(いわゆる「間接損害」)。
Q3-③. 私は自営業を営んでいるのですが、休業損害はどのように計算されるのでしょうか?
A. 原則として、事故前年度の確定申告所得額をもとに算出されます。申告所得を超える収入を確実に証明できる場合には、申告所得以上の収入が認められる可能性もあります。
➢ 事業所得者の場合、休業損害は以下のように算定します。
事故前年度の確定申告所得額 ÷ 365(日)× 休業日数
例:事故前年度の確定申告所得額が700万円、休業日数が15日の場合
7,000,000 ÷ 365 × 15 = 287,670円
Q3-④. 私は専業主婦(主夫)なのですが、保険会社から提示された示談金に休業損害は含まれていませんでした。休業損害は支払ってもらえないのでしょうか?
A. 専業主婦(主夫)であっても、休業損害が認められます。
➢ 専業主婦(主夫)の場合、保険会社は積極的に休業損害の支払いを提示してこないケースも多くあるため、しっかりと確認することが必要です。
➢ 専業主婦の場合、休業損害は以下のように算定します。
賃金センサスの女性労働者の全年齢平均の賃金額 ÷ 365(日)× 休業日数
例:令和元年に事故に遭い、休業日数が30日の場合
3,880,000 ÷ 365 × 30 = 318,900円
Point
  • 交通事故に遭ったら、まずは警察に連絡を!
  • 保険会社からの提示金額は適正な損害賠償額よりも低額なことがある
  • 加入している保険に弁護士特約が付いていないか確認し、早めに弁護士に相談を!
~ 仙台あさひ法律事務所からひと言 ~
交通事故の損害賠償額の算定は複雑で、保険会社や相手方との示談交渉には専門的な知識が必要となってくるため、ご自身で交渉を行うことは非常に大変です。また、弁護士が交渉することによって当初の提示金額より損害賠償額が増額されるケースも多いものとなっていますので、できるだけ早い段階でご相談いただくことをお勧めします。
作成日:2020.6.25