仙台あさひ法律事務所

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欠陥住宅問題に「泣き寝入り」は存在させません。

明らかに法律に違反している場合に認められることはもちろんですが、このような法律に違反していなくても、施工内容が約束とは異なっていて、その約束が特に契約の重要な内容となっていたと認められるような場合にも欠陥住宅であると認められています。

欠陥住宅問題において、損害賠償請求ができるのは、主に以下のような損害です。

瑕疵補修費用
瑕疵(一般的には備わっているにもかかわらず本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わっていないこと。)がある場合補修費用が認められます。
補修期間中の代替建物の賃料、引越し費用
補修期間中に当該建物に住めないような場合には、仮住まいの賃料や、その仮住まいへの引越し費用、補修後の建物への引越し費用等の請求が可能です。
休業損害・逸失利益
賃貸物件に欠陥があるような場合には、賃料等の休業損害や逸失利益の請求が可能となります。
建築士費用・弁護士費用
欠陥住宅調査のために建築士による調査鑑定費用が生じた場合や、弁護士を依頼する必要があった場合には、 調査鑑定費用についてはほぼ全額、弁護士費用については総額の1割程度が認められるケースが多いといえます。
慰謝料
住宅の取得は、一生に一度の買い物ともいえ、これに欠陥が存在したような場合に、重大な精神的苦痛を被ることは容易に想像がつきます。 しかし、これまでは、補修費用の支払等によって財産的損害が回復されれば精神的損害も回復されるなどという考え方も存在し、 なかなか慰謝料請求は認められてきませんでした。
最近は、このような考え方から脱却し、欠陥住宅の場合に慰謝料請求を認める裁判例も増えてきています。

いつまで請求できるのか?

● 売買契約の場合
瑕疵担保責任
売買契約における瑕疵担保責任の存続期間は、事実を知ったときから1年(民法570条、566条3項)です。
不法行為責任
不法行為に基づく損害賠償責任の存続期間は、損害及び加害者を知ったときから3年、不法行為のときから20年とされています(民法724条)
債務不履行責任
債務不履行責任に基づく損害賠償請求権は、請求できるときから10年の消滅時効にかかります(民法166条1項、167条1項)。
● 請負契約の場合
瑕疵担保責任
請負契約における瑕疵担保責任の存続期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これに類する構造の工作物については引き渡しから10年、 その他の建物(木造等)については引き渡しから5年とされています(民法638条)。
不法行為責任
売買契約の場合と同じ損害及び加害者を知ったときから3年、不法行為のときから20年とされています(民法724条)
債務不履行責任
売買契約の場合と同じ請求できるときから10年の消滅時効にかかります(民法166条1項、167条1項)。

誰にどのような責任追及ができるのか?

● 売買契約の場合
① 売主に対する責任追及
当該住宅に隠れた瑕疵(=通常人が容易に発見することができず、かつ、その買主が知らなかった瑕疵)があれば、買主は売主に対して、 瑕疵担保責任(民法570条)に基づく損害賠償を請求できます。
② 仲介業者に対する責任追及
宅地建物取引業者である仲介業者は、買主に対して、重要事項説明義務(宅地建物取引業法35条)を負っています。
したがって、仲介業者を通じて購入した物件に瑕疵があったような場合であって、仲介業者が重要事項について十分な説明を行っていないというケースや、 調査をすれば容易に瑕疵が発見できたにも拘わらず調査をしていないケース等においては、買主がその仲介業者との間で仲介契約を締結していれば 債務不履行責任(民法415条)を、そうでない場合においても、不法行為責任(民法709条)を追及できる場合があります。
③ 設計者や施工者、工事監理者等に対する責任追及
買主と建物の設計者や施工業者、工事監理者(工事監理とは、工事を設計図書と照合し、 それが設計図書通りに実施されているか否かを確認する作業です)との間に直接の契約関係が無い場合でも、 施工業者に対して不法行為責任(民法709条)を追及できる場合があります。

上記のほか、部材供給者に対する製造物責任法に基づく賠償請求や、建築確認処分に違法があった場合の国家賠償請求が認められる場合があります。

● 請負契約の場合
① 施工者に対する責任追及
施工者(請負人)の契約責任については、建物完成前は債務不履行責任(民法415条等)、 建物完成後は瑕疵担保責任(民法634条)を負うとされています。 建物完成の時期については、「請負工事が当初予定されていた最終の工程まで一応終了し、 建築された建物が社会通念上建物として完成しているかどうか、主要構造部分が約定どおり施工されているかどうか」等を 基準として判断されます(東京地裁平成3年6月14日判決)。 ただし、最終工程まで終了していても、重大な構造欠陥があるような場合には、建物が完成していないと評価されます。
また、建物に瑕疵があれば、施工者に対して瑕疵担保責任(民法634条)に基づく瑕疵修補請求や損害賠償請求ができます。
② 設計者、工事監理者に対する責任追及
建築士がこの工事監理を行うに際しては、「工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、 その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告する義務を負う」 (建築士法18条3項)とされています。
したがって、注文主としては、設計者や工事監理者が上記の義務に違反して損害を受けたときには、 設計者や工事監理者に対して債務不履行責任(民法415条等)もしくは不法行為責任(民法709条)を追及することができます。